ちゆまど―世界は全て君のために―


父さんが言った言葉がよぎる。


一方的な殺害を両親は望んでないだろう。


「兄と話したいです」


「分かった」


シブリールさんと距離を置く。


ベッドから立ち上がれば、服が昨日のままであるのに気付いた。


匂いは気にならないが、土汚れが目立つ。


「シブリールさん、着替えてもいいですか」


「ああ、分かった。これからどうするかはゆっくりと話し合おう」


シブリールさんが霧となり消える。いなくなったことを見計らい、私は着替えた。


久々にゴスロリじゃない家にあった服を着る。簡素なワンピースだ、それにカーディガンを羽織る。

診療所にいるときは白衣だから少し変な感じがした。


着替え終わったからシブリールさんを呼ぼうと――空気の流れが変わったのに気付いた。


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