ちゆまど―世界は全て君のために―
「まさか……」
思い当たる節があるのかシブリールさんがへえともらす。
「あいつがか、ずいぶんと成長したものだ」
「あちこちを周り、様々な技術を身につけたのはそなただけではないぞ。あれもまた探求心の塊だからなあ」
「あの……、その人は今どこに?」
「知らぬ」
え、はあ?と私、シブリールさんが変な声をあげてしまった。
「知らないとはどういうことです、ババア。あなたが管理する内の一人だろうが」
「管理と監視は違うぞ。別段、あれは世界の危惧を行わぬ者だ。ふらふらと出ていった子をいちいち監視するわけにも行かないだろう」
「なら、あなたの力で探せば」
「どうにも、遠見の魔術を使えば、あれは別世界に逃げおおせるものでなあ。余の力を感知し、監視されるのが嫌なんだろうぞ」