ちゆまど―世界は全て君のために―
シブリールさんがため息をつく。
私も吐きたい。さっきから、救いの糸が見えているのに切れたり繋げたりの連続だ。
「ババア、からかっているのか」
「からかってなどおらん。ただ、順をおって説明しているだけぞ。――なに、ぬか喜びな話はしない」
にいと笑う口元。見ていると肩が強ばってしまう。
「だいぶ遠回りになるが良かろう?奇跡をなかったことにする奇跡が手に入るのだから。
あれに会いたくば、あれが呼び出した召還物に会えば良い。場所もそやつが知っておろう」
「そやつ、だと……」
「そなたを愛するそやつぞ」
シブリールさんが一瞬、身震いしたかのように見えた。
「そやつ?」
「他に手はないのか、ババア」
「ないな。あいつはあれと余が協力して呼び出した者だ。あいつはあれと繋がっておる。余ともな。わざわざ遠見をしなくともあいつの場所は手にとるように分かる。逆もまたしかりだ」