ちゆまど―世界は全て君のために―


「ライバル、とか」


「いい解釈をしないで、俺はあれが嫌いなんだ。毎度毎度、顔を合わせるたび……」


苦悶するシブリールさんをほっといて、周りを見回した。


すぐに会えるぞ、と転送されたこの場所。しかして人影の一つも見えない。


「どこにいるんでしょう」


「寝てるんじゃないかな。あれは太陽が苦手だから」


「え、太陽が苦手って」


根暗で陰湿なイメージがその人にできた。


「探すしかないかなぁ」


「いや」


何か考えでもあるのか、シブリールさんが一歩前に出る。


片手を口元に添えて。


「出てこい、蚊男!」


大声で言ってみせた。


かなり古典的だ。


こんなんで来たら楽すぎますよー、と言おうと。


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