ちゆまど―世界は全て君のために―
「にしても、味見って……」
「ああ、ごめんごめん。普通ひくよねえ。俺ね、吸血鬼だから他人の血とか食べたくなるの」
「は、吸血鬼?」
「あれ、知らない?血を飲む種族」
「い、いや、知ってますけど。吸血鬼って、おとぎ話のキャラじゃ」
「あー、この世界じゃそうかもねえ。ただ俺はこの世界の住人じゃないんだ、召還物だから。俺がいたところなんて、人間と吸血鬼が共存しているんだよ」
「へえ」
知らなかった。
まさか現実に吸血鬼がいるなんて。
「じゃあ、さっき、シブリールさんの体液食べたって」
「血液のこと。前に手合わせした時にね、たまたま傷ついた彼の血をペロリとしたんだけど」
うっとり、という言葉が似合うシュヴァルツさんは頬を赤らめて。