ちゆまど―世界は全て君のために―
「痺れたね」
目端でシブリールさんが身震いしたのを見た。
「奇跡……いや、もはや運命だった。アフロディーテを宿していた体だから、濃厚だとは思っていたけど、まさかあそこまでなんて……。はあ、忘れられないよぅ。あの味、舌触り、風味、どれを取っても一流で、それ以来、俺はシィちゃんにぞっこんなわけ」
物欲しそうな目で彼を見るシュヴァルツさん。
「シィちゃん……」
「気持ち悪い目で見るな」
「恋しさ全開の目ですよ、あれは。ちょっとぐらい血をわけたらどうです?」
「ユリウスまでっ。そんなこと言わないで、あいつのことだから美味さ余ってしゃぶり尽くすに決まっている!第一、俺はユリウスのものだ。俺の体液を飲んでいいのも、ユリウスだけなんだから!」
「胸を張って痛い趣味を公言しないように」