ちゆまど―世界は全て君のために―
きょとんとした顔で見られた。
「マスター?一号と二号がいるんだけど、どっち?」
「ラグナロク様じゃない方です」
「ああ、二号様ね。ちょっと待ってね」
目を瞑るシュヴァルツさん。三秒ほどで開けた。
「運いいねえ、ユーリちゃん。二号様、この世界にいるみたい。ちょっと遠いけど」
「え、近くにはいないんですか」
「うん。俺、放し飼い状態だから」
「え、でも。召還物って、召還者から離れられないんじゃ」
魔術の基礎だ。
絆を結んだ者同士、迂闊には離れられないと思ったけど。
「ユリウス、それは低級どもの話だ。召還者も召還物もね」
「そうそう。本来異世界から何かを呼ぶのには、呼んだ世界に順応しなければならない。世界に溺れさせないためにもねえ。術者の近くにいれば、召還物は溺れることはない。術者が酸素ボンベみたいなものだから」