ちゆまど―世界は全て君のために―
「だが、シュヴァルツぐらいになれば、酸素ボンベなしでも行動できる。主人と離れることでの限定も、その主人が強ければかかりはしない」
「一号様にしても、二号様にしても一流の魔導師だからね。好き勝手一人歩きができるわけ」
へえ、と知識が増えたので頷いた。
「で、シュヴァルツ。あいつはどこにいるんだ」
「ひ、み、つ」
拳をあげるシブリールさんを止める。
「教えてください、どうしてもその人に会わなきゃならないんです」
「んー、ユーリちゃんの頼みなら聞いてあげたいんだけど。――なんというか、君たちはちょうどいい時に来てくれたんだ」
首に巻いてある毛皮。狐を丸々一匹使ったそれを撫でながらシュヴァルツさんは言う。
「ほんと、俺は運がいい。シィちゃんに頼みたいことがあってね」
「血の請求か」
「それもいいけど、それ以上に頼みたいこと」