ちゆまど―世界は全て君のために―


昨日知ったことだ。ラグナロク様が持つ、世界最大の魔導書アフロディーテに書かれてある解呪方は私の実力では習得するのに十年かかるらしい。


行く宛がなくなった。旅はこれで終了かとも思えてくる。


「離れることなんか忘れて、ハネムーンを楽しもうじゃないか」


「だからハネムーンじゃありませんっ」


もう、とシブリールさんを無視して部屋を出る。


ずっと待っていたのか、銀髪白タキシードの。


「えっと、マトリさん?」


「弟のヨーシカでございます」



間違えた。

マトリさんとヨーシカさんは瓜二つの双子だ。昨日今日じゃ区別がつかない。


「すみません」


「いえ、お気になさらず。庭園までご案内いたします」


さあこちらへと言うヨーシカさんについていこうとしたが。


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