ちゆまど―世界は全て君のために―
「シュヴァルツさんをご存知なんですか?」
「ご存知もなにも、シュヴァルツちゃんはこの村の恩人なんだ」
持ってお行きとりんごをタダで貰ってしまった。
「見ての通り、森に囲まれた村でねえ。猛獣がわんさかいるんだ。家畜を食い、果ては人まで襲うようになって参っていたんだけどね。
ある日、シュヴァルツちゃんが村に来て、猛獣どもを追い払ってくれたんさあ」
いや、あの時は助かったと話すおばさんの影で、小さな子供たちが私の服をついつい引っ張った。
「わわ、どうしたの」
「お前、シュヴァルツの弟子だなっ」
「おい、クソガキ。いきなり彼女にお前呼ばわりしやがって。しかもか、彼女の服を脱がせようと――」
「少年相手にも嫉妬しないっ」