ちゆまど―世界は全て君のために―
肘アタックをして彼を黙らせ、少年に向き直った。
「俺はシュヴァルツの一番弟子なんだ!だからお前は俺の下っ、俺の子分だ!」
「ごめんねえ、お嬢ちゃん。シュヴァルツ親分とか言って、この村じゃこんなのが子供たちの間で流行っていてねえ。シュヴァルツちゃんがよく子供たちと遊ぶから」
「いえいえ」
少年の首にはイタチの毛皮が巻いてあった。
シュヴァルツさんが子供たちに友好の証だと渡したのを想像した。
「そういえば、シュヴァルツちゃん、元気かい?最近、めっきり村に来なくてねえ」
「どこにいたんだ!」
森の方だよと教えれば、野郎共いくぞ、と子供たちは行ってしまった。
「あ、子供だけで森に行くのは……」
「平気さね、シュヴァルツちゃんのおかげで猛獣なんかいなくなったからね。ただ最近はちょっと妙な奴らが……ああ、いや、お嬢ちゃんたちは今日はこの村に泊まるかい」