ちゆまど―世界は全て君のために―
「はい。そのつもりです。あ、宿屋ってどこでしょう」
「もう少し先に行けばあるよ。看板があるから分かるはずだ」
ありがとうございますと頭を下げた。
「シュヴァルツちゃんに会ったら、また村に来るよう言っておくれ。みんな、待っているって」
「分かりましたー」
手を振って、露店をあとにする。
りんごをピカピカに磨いて、シブリールさんに渡した。
「ユリウスが食べたら」
「朝から何も食べてない人の方が心配です」
「ゆ、ユリウスが俺の心配を……!なら、俺、一生何も口にしないっ」
りんごを喋る口につっこんだ。
「にしても、シュヴァルツさん人気者ですね」
「あいつは人当たりだけはいいからね。世渡り上手というか、とんだ偽善者だ」