ちゆまど―世界は全て君のために―
「おい、人形。あまり彼女に馴れ馴れしくするな」
ガンつけるシブリールさん。またこの人は……若い男となると誰これ構わず威嚇するのはやめてもらいたい。
「馴れ馴れしくなんかありませんよ」
「騙されちゃダメだよ、ユリウス。今、この人形。『こちらへどうぞ』と言いながら、君の豊満なバストを触ろうとした。例えば、こんな風に」
「実演結構!」
彼の手を叩く。
痛いと俯く彼お構い無しに、ヨーシカさんの後をついていった。
黙々と歩き続けるヨーシカさんに合わせるも。
「あれ、ヨーシカさん」
「はい?」
振り返るヨーシカさんの手を取る。
嫉妬丸出しのシブリールさんを無視して、親指あたりにある傷を見せた。
切傷だ。血は出ていないが、結構深い。
傷を見せられてヨーシカさんは初めて自覚したようだった。