ちゆまど―世界は全て君のために―
掴みかかった。ユリウスやめるんだの声など無視する。
「誰もが皆、生きているんですよ!精一杯っ、無我夢中でっ。死にたくないと逃げ出すんですよ!そんな人たちを背中から切りつけて楽しむなんて、命をバカにしているようなものだ!」
「……、くっ」
「他人も自分も、持っているのは同じ命なんです!涙しながら逃げたのを、あなたも見たでしょうっ。どんな言い訳を並べたって、あなたが無防備な人間を襲ったのにはかわりない!」
「くくっ」
「シュヴァルツ……」
前髪をたくしあげながら笑うシュヴァルツさんの顔は、真っ赤な血に染まっている。
「ほーんと、善人だ、ユーリちゃんは。俺、君のことますます好きになっちゃうよぅ」