ちゆまど―世界は全て君のために―
今は朝だ。昼夜逆転生活の彼はどこか眠そうだった。
「やだなあ、そう嫌な顔しないでよ」
「嫌な顔なんか……」
「ユーリちゃんには嫌わないでほしいなあ。ああいう考え方もあるんだよ」
私の顎を持とうとする手を、シブリールさんが叩いた。
「貴様の考えをユリウスに押しつけるな」
「押しつけてなんかないよぅ。ただ、真実を言っているだけ」
「紛れもない押しつけだろうが。ユリウスは俺たちとは違う……!心が穢れてないんだ。穢れた場所の全貌など彼女に伝えるな」
「ふーん」
今度はシブリールさんの顎を持つ。微笑みは相変わらず、でもどこかに恐怖を含んでいた。
「『俺たちは』って、分かっているくせに、一緒にいるんだ。勘違いしない方がいいよ」
シブリールさんの耳打ち際まで、唇を寄せて。