ちゆまど―世界は全て君のために―


歩き出す猫についていく。


時折、後ろを向いては私たちがついてきていることを確認していた。


少し歩いたところで猫がある家に入る。


家の隅っこで止まったかと思えば、消えた。


は?と目をこすってしまった。


そんな私に構わず、シブリールさんが猫のいた場所までいき、かがんだ。


ひとしきり、石床を触ったと思ったら。


「地下だ」


蓋開くように床に入り口ができた。


中には下へと続く階段。


両脇にはランプが添えつけられていた。


ホラーみたいと微かに思う。


「ユリウス、行くよ」


「あ、はい」


私から離れられない彼だが、念のために私の前を歩いてくれた。


狭い階段を降りれば、扉。


ためらいなく彼は扉をあけた。


「ノックもないのでしょうか。なんと無作法な」


高い声。

前にいるシブリールさんのせいで、部屋の全貌が見えない。

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