黒騎士-ブラックナイト-
第一章
王女と騎士
「リィナ姫!姫様はどこにいらっしゃいますか!?」
ルーゼン・ウルク王国にある城で、大臣が人を探していた。
その時、国中が騒がしくしていた。
“異人の襲撃”の仕業のせいで。
「早く!姫様を捜せ!姫様をお守りしろ!」
「はっ!」
城に遣われる騎士たちが建物内を駆け回る。
王座の間、姫の部屋、メイドの部屋―。
くまなく捜すが、姫の姿は見つからない。
「リィナ姫!リィナ姫!」
返事は返ってこない。
―まさか…。
大臣や騎士たちの頭には最悪の事態があった。
すでに異人に殺されてしまったのか―?
誰もそんなことは望まない。
「早くするのだ!姫様だけはお守りしろ!」
大臣はそう言い残し、数人の騎士を連れ添って、地下へ降りていった。
祭壇の間か―?
そう予想したから大臣は、地下へ降りたのだ。
地下の祭壇の間には、母の女王・ユリアナが眠っている。
別名・シーラ15世女王。
地下へ続く階段を勢いよく駆け降りる。
ダダダダタ…
時が止まった空間に足音が響く。
「姫様!姫様いらっしゃいますか!?」
相変わらず返事はなく、大臣の枯れた声が反ってくるだけ。
大臣たちが辿り着いたのは、ガラス細工で飾られた立派な大きな扉の前。