黒騎士-ブラックナイト-

レイドは焦りを隠せない。

早くしないとリィナが死ぬ……!!!

「リィナが死んじまう……!!!そんな化け物なんて恐くねぇ!リィナが死ぬことの方が恐いんだ!!」

レイドは知らぬ間に、涙を流していた。

「……オレは“異人”と呼ばれる人種らしい。多分、ここに居るみんなは気付いてたはずさ、このことを。でも……リィナはオレを“家族”と呼んでくれた……!!」

背中の痛みはまだ少しあるが、それよりも、心が痛い―。

「側近騎士はこのオレだ!!!絶対に護ってみせる!!」

レイドはそう言って部屋を勢いよく出ていった。

シューたちは何も言えず、ただ、レイドの健闘と、リィナの回復を願った。



「道案内するぜ。」

馬小屋から自分の馬を連れ出したレイドに、フィルは声をかけた。

「フィル……。」

「パルスの街には、何度か行ったことがある。リヴェンを越え、さらに西を行かなくてはならない。」

フィルも自分の馬を連れ出した。

2人は馬に股がり、手綱を握った。

「ついて来い!」

ヒヒーーンッ!!

2人は馬を走らせた。

< 104 / 304 >

この作品をシェア

pagetop