黒騎士-ブラックナイト-
レイドは焦りを隠せない。
早くしないとリィナが死ぬ……!!!
「リィナが死んじまう……!!!そんな化け物なんて恐くねぇ!リィナが死ぬことの方が恐いんだ!!」
レイドは知らぬ間に、涙を流していた。
「……オレは“異人”と呼ばれる人種らしい。多分、ここに居るみんなは気付いてたはずさ、このことを。でも……リィナはオレを“家族”と呼んでくれた……!!」
背中の痛みはまだ少しあるが、それよりも、心が痛い―。
「側近騎士はこのオレだ!!!絶対に護ってみせる!!」
レイドはそう言って部屋を勢いよく出ていった。
シューたちは何も言えず、ただ、レイドの健闘と、リィナの回復を願った。
†
「道案内するぜ。」
馬小屋から自分の馬を連れ出したレイドに、フィルは声をかけた。
「フィル……。」
「パルスの街には、何度か行ったことがある。リヴェンを越え、さらに西を行かなくてはならない。」
フィルも自分の馬を連れ出した。
2人は馬に股がり、手綱を握った。
「ついて来い!」
ヒヒーーンッ!!
2人は馬を走らせた。