黒騎士-ブラックナイト-
右腕を無くし、左腕であなたを抱きながら馬に乗って。
もう1頭馬を連れてきました。
息を切らしながらあの方はおっしゃいました。
『頼む……俺はいいから…コイツを助けてやってくれ―』
そのまま気を失われました。
†
「―フィル王子は自分よりもレイド様を優先されました。右腕を失った痛みや悲しみはあるでしょうに……。」
「……オレがいけねぇんだ。オレが弱いから……。」
「これから強くなられたらよいでしょう。今は魔力を回復なさらないと。」
レイドは薬を一口飲んだ。
すごく苦くて今にも戻しそうになったが、流し込んだ。
「フィルの腕は……」
「魔法で身体を再生することは出来ません。ただ、痛みを押さえ、傷を塞ぐだけ……。」
「…………。」
レイドは自分を責め、罪悪感が残った。
「それにしても、人喰いの化け物と戦ってまで急いで来られたのは何故です?」
「!!!」
レイドは本来の目的を思い出した。
「リィナの身体に毒があるんだ!あと1日もすれば死んじまう!アクリス、力を貸してくれ!」
「なんていうこと!!リィナ王女様が…?!」