黒騎士-ブラックナイト-
シュー自身も何か、手はないかと魔法の書物をあさり、試してみたが効き目はなかった。
「レイド様はまだなのですか?」
「あぁ……最悪の場合、レイド様とフィルが人喰いに……」
「そんな考えをするでない!」
スーハはヴァィに叱られた。
「すみません……!」
「不安になるのは無理ない。しかし、今はリィナ様とレイドたちの無事を願え。
ヴァィは冷静にそう促すが、彼自身が一番落ち着いてられないのだ。
王様に代わって私がお守りしなくてはならないのに……!
ヴァィは責任感の強い男だ。
「どうか……リィナ様を、レイド様をお助け下さい……。」
†
空から、レイドを観察していた者がいた。
「大きくなったなぁ…。」
彼はそう呟き、まっ逆さまに落ちていった。
ドオォッッン!!
「な、なんだ?!」
ヒヒーンッ!!
地面がいきなり砂ぼこりを撒き散らした。
馬はビックリして慌てだす。
「大丈夫だ!落ち着け!」
レイドは手綱を引っ張った。
馬は止まった。
「久々だな、レイド。」
砂ぼこりから現れたのは、褐色の肌に長く綺麗な黒髪をした、黒い服の男。
左肩に十字架に亀裂の入った刺青。