黒騎士-ブラックナイト-
“どうして護ってくれなかったの……?”
「――――!!!」
レイドは足がすくみ、動けなくなった。
少女は血だらけで立ち上がり、レイドに近づき、抱き着いた。
“護るって言ったよね?指切りしたよね?なのに……どうして助けてくれなかったの……?”
少女は睨みつけた。
言葉の一つ一つが胸に刺さる。
「リ……リィナ……」
“レイドの嘘つき……!誰も護れないじゃない!”
「あ……あ……!」
“右腕……返してくれよ……”
背後からフィルの声がした。
顔だけ振り向くと、血だらけのフィルが立っていた。
右腕はなく、永遠に血を流している。
「うあぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」
ドンッ!!
レイドは少女を突き放し、暗闇の彼方へ走り出した。
リィナが……!!
オレのせいでリィナが……!!
レイドは汗を大量に流しながら走る。
“お前か……?”
目の前に、顎ヒゲを触りながら、腕を組み、仁王立ちしている男がいた。
服からすると、どこかの貴族らしい。
「え……な、何が…?」
“私を殺したのは……!!”