黒騎士-ブラックナイト-

決して……決して、“異人”の弟なんていない!!

暗闇にようやく底が見えた。

青白く光る魔法陣がある空間に落ちた。

「……祭壇の間?」

レイドには見覚えのある部屋だ。

そこは祭壇の間だった。

レイドは立ち上がった。

体が小刻みに震える。

「ちくしょう……!!」

今までの幻想がそうさせる原因だ。

“よっ。”

「!?」

目の前に幼い自分が立っていた。

「オ……オレ?」

“違うな。オレはロイドだ。”

彼は自分ではなく、ロイドだった。

「……」

“オレ達は一卵性の双子。そら見分けつかねぇよな。”
「……何の用だ?」

レイドはロイドの話なんて聞きたくなかった。

“そろそろ目を覚ませ。”

「は?」

“思い出せよ。オレのこと、オレ等“異人”のこと。それに、8年前のこと。”

「8年前……!?」

ドクンッ!!

「くっ……!!」

胸が苦しい……!!

レイドは急に胸の苦しみに襲われた。

その場にひざまついた。

“なんなら……全部教えてやろうか?”

幼いロイドはニヤリと笑った。

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