黒騎士-ブラックナイト-
レイドは淡々と喋り続けた。
「でも、リィナはこんなオレを家族と言ってそばに置いてくれてるんだ。“異人”だと知っていて。だから、もう迷わねぇ。」
レイドは左手に手綱を握り、右の拳を空に向けて掲げた。
「リィナを絶対に護る。無くした過去は必ず、自分で取り返す……!」
レイドは力強く言い放った。
その姿を後ろで見ていたフィルには、彼の姿がとても勇ましく見えた。
「期待しておりますわ。」
アクリスは笑った。
†
リィナはまだ眠っていた。
苦しむ様子もなく、ただ、すやすやと。
「この胸の鼓動がいつ止まるのか、考えただけで辛いです……。」
「大丈夫です。絶対にレイド様がお救いになられます。」
スーハの心配を消し去るように、フゥリは言った。
「リィナ様、必ず助かります。どうか、それまでは……。」
バンッッ!!!
部屋の扉が勢いよく開いた。
「!!」
「あぁ……!!」
扉の向こうに現れたのは……
「レイド様!!!」
レイド達は帰ってきた。
残り、19時間。
余裕で間に合った。