黒騎士-ブラックナイト-
風はおさまり、光は消えた。
「リィナ様……これでもう大丈夫ですわ。」
アクリスはリィナに話しかけた。
「!?」
しかし、アクリスの顔から笑顔が消えた。
「アクリス、もう大丈夫なのか!?」
「アクリス様!」
レイドをはじめ、部屋にいた全ての人間がアクリスに問う。
だが、アクリスは答えない。
「アクリス……?」
レイドは心配になり、優しく声をかけた。
「おかしいですわ……いつもなら、目を覚まし、容態はすぐに回復するはず……。」
「え……?」
「リィナ様が目を覚まされない……!!」
「―――!!?」
「なんだって……!?」
「あぁ……なんという運命のいたずら!」
全員が声に出して、動揺した。
「今のは、解毒魔法で最高レベルの魔法です。これが効かないなんて……!!」
アクリスは涙を流した。
「アタシの魔法が効かないなんて……!!」
「アクリス、もう一回してみるんだ!」
「無理ですわ……アタシの魔力のほとんどを使いましたもの……。」
「そ……そんな……」
「レイド様……申し訳ありません!!」
アクリスは泣き崩れた。