黒騎士-ブラックナイト-
取引と大嘘
アクリスの強力魔法が効かない猛毒……。
他に助かる術はない、とみんなが絶望した。
リィナは何も知らず、眠り続けている。
「このままじゃ……リィナ様が死んでしまう……。」
1人のメイドが呟いた。
「何か……何かないのか!」
シューも焦りを隠せない。
「落ち着け!みっともないっ!」
ヴァィも焦っている。
しかし、落ち着いたところで何か解決策があるわけでもない。
「ロイド……。」
レイドの頭の中には、ロイドとの取り引きがあった。
「レイド、バカな事は考えんなよ。」
フィルはレイドにそう言葉をかけた。
「何がだよ。」
「別に……。」
レイドはリィナの頬をなでた。
もうあの笑顔が見れないのか。
もうあの声は聞けないのか。
もうあの日みたいに奇跡は起こらないのか。
「……―あの日って?」
レイドは自分が心の中で言った言葉に、疑問を抱いた。
「どうした?」
「いや……何でもない。」
彼は不思議な気分になった。
「アタシがしっかりしていれば……!」
アクリスは自分を責め続けた。