黒騎士-ブラックナイト-
「自分を責めるな。アクリス、あなたのそのリィナ様を助けたいという気持ちが、何より嬉しい。来てくれてありがとう。」
シューはアクリスにそう言って、肩をさすった。
「アクリス……!!」
彼女の名を呼びながら、ロッツォが部屋に飛び込んできた。
「兄様!」
「話は騎士達から聞いた。よくここまで無事に来てくれた。」
「えぇ。レイド様とフィル王子が護衛をしてくださって。」
「そうか……。」
ロッツォはアクリスの頭をなでた。
「しかし……アタシに力がないばかりに……!」
アクリスはまた泣き出した。
ロッツォは「お前はよくやってくれた」と言いながら、何度も頭をなでた。
「リィナ……」
レイドはリィナの手を握った。
握り返してはくれないかと思いながら。
「オレは側近騎士だ。命に代えてもリィナを護る。」
すくっ
レイドはリィナの手を放し、立ち上がった。
「風にあたってくる。」
それだけ言ってレイドは部屋を出た。
†
リヴェンの女神像の水晶玉が、月の光に照らされて輝いている。
その上に、4つの人影があった。