黒騎士-ブラックナイト-
くらっ……
「!」
立ちくらみでリィナはベッドに再び座った。
「リィナ様、ここは騎士達にお任せを!」
「えぇ……頼んだわ。」
フゥリは冷たく濡らしたタオルを、彼女に渡した。
†
「レイド様!何処にいらっしゃるのですか!?」
騎士達が声をあげてレイドを探し回る。
しかし、問いかけに返事はない。
「シュー、“異人”は何て言ったんだ?」
フィルはシューと共に城を出た。
城外を探し回っている。
「『オレ達の所へ帰ってこい。』と言った。」
「取り引きが行われる場所は指定されなかったのか?」
「!!」
シューはその一言で思い出した。
「リヴェンの女神像だ……!」
「女神像…?」
2人は馬に股がり、以前の国境へ向かった。
「リヴェンの女神像で待つ、奴は言った!」
「じゃあ……レイドは!」
「急ぐぞ!」
静かな城下町を抜け、ひたすら走る。
ようやく女神像の陰が見えた。
女神像の足元に1頭の馬がいた。
「レイド様の馬だ!」
主がいない馬はただ、退屈そうに、女神像を眺めている。