黒騎士-ブラックナイト-
伝言と王国
リィナの体内に侵入したのは毒ではなく、眠り薬のようなものであった。
そして、レイドはそのことを知らず、夜にきえていった。
シューとフィルは、リヴェンの女神像へ向かい、そこで水晶玉の破片に刻まれた文字を見つけた。
「レイドさまあぁぁぁああ!!!」
シューが泣き叫ぶほどの内容だった。
†
シューとフィルは、文字が刻まれた破片を持って城に帰った。
それは、両手に担ぐほどの大きさだった。
「只今戻りました。」
「シュー!レイドは見つかった!?」
リィナは城の入り口、ロビーで待っていた。
「…………レイド様は…」
「王女、これを見てくれないか?」
ドシッ…
フィルは水晶の破片を置いた。
「これは……リヴェンの女神像の水晶……?」
「あぁ……。ここに文字が刻まれてる。読んでくれ。」
「えぇ。」
リィナは恐る恐る近付いてそれを見た。
「……レイドの字だわ。」
彼女はそれを指でなぞり、一文字も見落とさず読んだ。
リィナは読みながら涙を流し始めた。
「……そんな…。」
リィナは足の力が抜け、その場に座りこんだ。