黒騎士-ブラックナイト-
「ばか……レイドのばかぁ!!」
リィナは声をあげて泣きわめいた。
「何かっこつけてんの……!!ばか!ばかばかばか!!!」
フゥリは優しくリィナの肩に手をかけた。
同時にその文字を読んだ。
「レイド様……。」
「うわぁぁぁぁああん!!!」
リィナはしばらくその場から離れず、泣き続けた。
†
夜は明け、新しい1日を迎えた。
城はいつもの朝とは違い、誰もいないかのように静まり返っていた。
リィナは、いつもレイドがいる木を一晩中眺め続けた。
そこにレイドがいるかも知れないから。
しかし、そんな期待は裏切られ、いつになっても彼の姿は見れなかった。
「部屋……。」
リィナはそう呟き、部屋を出た。
そして、隣のレイドの部屋に行った。
「レイド!!」
彼はいなかった。
部屋は散らかったままだった。
魔法の書物が開きっぱなしで置かれ、図書館で行方不明となっていた書物も何冊かあった。
「どうして……。」
リィナはレイドのベッドに腰かけた。
「どうしてこんな事に……!!」
彼の枕を強く抱いた。
少しだけ、レイドの匂いがする。