黒騎士-ブラックナイト-
『あなたはだぁれ?』
『お……お前…“聖人”っていう人間か!?』
『え?なぁにそれ?』
リィナの頭の中でそんな会話が思い出された。
「私が9歳の時に初めてアナタに出会ったのよね。」
リィナは枕に顔を埋めながら呟いた。
「お願い……1人にしないで……。」
†
同じ頃、シューは外で剣を振っていた。
朝から汗をいっぱい流し、ひたすら剣を振った。
「私が……私が強ければ…!!」
城の門の前の広場で、シューは無我夢中に剣を振る。
「そうすれば……レイド様は!!」
『姫……彼はまさか……。』
『シュー。』
『はい?』
『レイドは私の大切な友達なの。』
シューの頭の中でも、ある日の会話が思い出された。
『頼む!オレに魔法を教えてくれ!!』
カシャッン……
シューは剣を落とし、空を見上げた。
「レイド様……貴方でなければ王女様は……。」
涙がふいに流れた。
「ちくしょぉぉぉおお!!!!!」
彼の声は、空高くまで響いた。
†
レイドが目を覚ましたとき、もう朝を迎えていた。
「!!」
レイドは飛び起きた。
「こ……ここは!?」