黒騎士-ブラックナイト-
見慣れない景色に彼は動揺した。
ジャラッ……
左足首に枷がついていた。
壁から鎖で繋がれ、どうやら自由の身ではないらしい。
「オレは囚人かよ……。」
レイドが目覚めた部屋は、牢屋のようだった。
「起きたか?」
ロイドが部屋に訪れた。
見れば見るほど、自分にそっくりだとレイドは思った。
「離せよ、これ。オレは逃げたりしない。」
「まぁまぁ〜そうカリカリするなって。」
ロイドはにっこり笑った。
「レイドにちゃんと話しとなきゃいけない事があるんだよ。」
ロイドは片手に持っていた食事を、机の上に置き、レイドが腰かけるベッドに座った。
「まず……よく帰って来てくれたな。」
「これが歓迎する対応か?鎖までつけて。」
「念のためさ。まだオレ達は、お前を信用しちゃいねぇからな。」
「…………。」
レイドは鋭いめつきで彼を睨んだ。
「次に、レイドの記憶についてだ。“異人”と呼ばれる種族であったことも忘れ、今まで“聖人”と共に生きた記憶は、いつか消し去ってやる。」
「……!!」
ロイドの言葉に愕然とした。