黒騎士-ブラックナイト-
こんな王女の姿を見て、フゥリの気持ちは沈んでいた。
彼女だけでなく、城に遣える者たち全員がそうであった。
部屋を出て、フゥリは重い扉を眺めた。
「どうかお気を確かに……。」
それだけ言って彼女は階段へ歩みだした。
†
食事が終わり、ヴァィは自分の部屋に戻って書類を広げた。
住民の出生届けや婚姻届け、他国からの貿易の資料など。
全て王女の仕事である。
しかし、王女があの様な状況であるため、溜まってしまっている。
「はぁ……これからどうすればよいのだ……。」
ヴァィは机に広げた書類を眺めるだけで、手をつけなかった。
頭を抱えて悩んだ。
王女の様態回復に時期側近騎士の決定。
これからの王国のあるべき姿。
頭が破裂しそうであった。
「父上。」
ドアの向こうから声がした。
「シューか……入れ。」
「はい。」
カチャ…
シューはゆっくり部屋に入ってきた。
「リィナ様はまた食事をとられませんでしたね。」
「あとで軽い食事を運ばせよう。」
「それは私が。」
「そうか。」