黒騎士-ブラックナイト-
親子の会話は、リィナを心配する内容であった。
「このままでは餓死なさります。」
「少しは口にされているようだ。」
「ならよいのですが……。」
シューは本棚を眺め、一冊一冊タイトルをなぞった。
「こんなリィナ様を、レイド様は望んでいたわけではないでしょう。あの方がおられなくなった以上、私達で何とかしなければ……。」
「それはわかってる。しかしどうしたらよいものか……。」
スッ…
シューは1冊の本を取り出した。
「それは……。」
「先代の王・ハインド様と王妃・ユリアナ様のアルバムです。」
パラッ…
1ページ目は幼少時代のハインドの写真だった。
まだおしゃぶりをしており、父であるダイロックに抱かれている。
その隣には母のネールが彼を抱いていた。
ページをめくれば、時代は進み、やがてユリアナと乳児のリィナと3人で写る写真が貼り付けられていた。
「リィナ様は立派になられましたね。」
「今のお姿ではそうは言えないが、お若いのに国をまとめられていらっしゃる。」
アルバムの時間は8年前で止まっていた。