黒騎士-ブラックナイト-

「私達は家族。親が辛いときにくじけてはいけませんね。」

シューはアルバムを本棚に戻した。

「そうだな……。先代の王・ハインド様にリィナ様を託された以上、しっかりせねば。」

「では、食事を届けに行って来ます。」

シューは部屋を出ていった。

「たくましくなってくれた。」



リィナの軽い食事は既に用意され、シューはトレイに乗せて調理場を出た。

「シュー様。」

部屋を出た瞬間、誰かがシューを呼んだ。

「フゥリ。どうした?」

話しかけたのはフゥリであった。

「リィナ様のところへ持って行かれるのですか?」

「そうだ。」

「私も付き添わせていただいても構わないでしょうか?」

「あぁ、助かる。」

シューは白い歯を見せた。

「ありがとうございます。」

フゥリは頭を下げた。

2人並んで廊下を歩き始めた。

「リィナ様のご様子は変わらずか?」

「えぇ…毎日空を眺めて過ごされています。」

「そうか。」

「私はあの様なお姿を見るのは、胸が苦しいです。」

フゥリは暗い顔をした。

「初めて城に遣われたとき、リィナ様は12歳でした。8年前の“異人襲来”を間近で私は見ておりません。」

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