黒騎士-ブラックナイト-
「私達は家族。親が辛いときにくじけてはいけませんね。」
シューはアルバムを本棚に戻した。
「そうだな……。先代の王・ハインド様にリィナ様を託された以上、しっかりせねば。」
「では、食事を届けに行って来ます。」
シューは部屋を出ていった。
「たくましくなってくれた。」
†
リィナの軽い食事は既に用意され、シューはトレイに乗せて調理場を出た。
「シュー様。」
部屋を出た瞬間、誰かがシューを呼んだ。
「フゥリ。どうした?」
話しかけたのはフゥリであった。
「リィナ様のところへ持って行かれるのですか?」
「そうだ。」
「私も付き添わせていただいても構わないでしょうか?」
「あぁ、助かる。」
シューは白い歯を見せた。
「ありがとうございます。」
フゥリは頭を下げた。
2人並んで廊下を歩き始めた。
「リィナ様のご様子は変わらずか?」
「えぇ…毎日空を眺めて過ごされています。」
「そうか。」
「私はあの様なお姿を見るのは、胸が苦しいです。」
フゥリは暗い顔をした。
「初めて城に遣われたとき、リィナ様は12歳でした。8年前の“異人襲来”を間近で私は見ておりません。」