黒騎士-ブラックナイト-

足音が寂しく響く。

「私は何も知らず、王と王妃の行方を聞いてしまった。しかし、リィナ様は全て話してくれました。レイド様が“異人”であることもその時からリィナ様は知っておられました。」

「リィナ様はそれを知りながら、レイド様を側に置かれた。私は理解ができなかったが、今となってはその理由がわかる気がする。」

「理由……ですか?」

フゥリは背の高いシューの顔を下から覗いた。

「あぁ。リィナ様は信用できる頼れる人を求めていらした。レイド様は歳が1つしか違わないが、あの方の純粋な人を信じる性格に惚れたのでしょう。」

シューはレイドの顔を思い出しながら言った。

「そうですね。」

「私達がリィナ様に合わせて沈んでしまってはいけない。リィナ様の心を救えたら、私は誇らしい。」

言い終わると、リィナの部屋の前に来ていた。

「リィナ様、シューとフゥリです。」

相変わらず返事はない。

「失礼ながら入らせていただきます。」

フゥリはまた重い扉を開けた。

リィナは先程と同じように空を見上げていた。

「お食事を。」

< 156 / 304 >

この作品をシェア

pagetop