黒騎士-ブラックナイト-
リィナは唖然として、シューの言葉に耳を傾けた。
「レイド様が戻られた時、今の王女様を見られたら、さぞ悲しいでしょう。」
フゥリも想いを口にする。
「私は、いつも笑顔のリィナ様が好きです。レイド様がいらっしゃらなくなったのは、国民、全員が悲しいこと。しかし、母のあなたが私達の支えになってくださなければ、国は悲しみの海に沈みます。」
「だからどうか、レイド様を信じて笑ってください。」
「お願いします!」
2人は深々と頭を下げた。
リィナはその姿を見て、我に返った。
短い髪を手ぐしでとき、窓辺から立ち上がった。
「顔を上げてシュー、フゥリ。」
ゆっくりと頭を上げ、リィナの顔を見た。
リィナは笑っていた。
「ありがとう……2人とも。そうよね、悲しんだってレイドは戻ってくるわけじゃないし、こんな顔してたら怒られちゃう。」
リィナは目に涙を溜めていた。
「ごめんなさい、私、王女失格だわ。」
「そんなことありません!」
「私、頑張る。みんながいるから頑張れるわ。心配かけてごめんね。」
リィナは満面の笑みでシューたちを見つめた。