黒騎士-ブラックナイト-
「……ご飯、食ったらな。」
ロイドはそれだけ言って部屋を出た。
バリックは白い歯を見せて笑った。
「よかったなっ。」
「すまねぇな。」
レイドも笑みがこぼれた。
毎日、こうして自分と同じ容姿の人間と交流を交わすうちに、彼らとの隔たりが薄らいだ気がした。
レイド自身、なんだか懐かしい気分にもなった。
「とっとと食っちまいな。」
「あぁ。」
レイドはゆっくりフォークを手にした。
†
「風が今日も気持ちいいな…。」
オルディンは長い黒髪を風任せになびかせていた。
彼は、海岸に立ち海を眺めた。
「本当に……いいんだな?」
オルディンは誰かに問うた。
「あぁ。今日実行する。」
それに答えたのは、オルディンの背後に立っているロイドだった。
「“聖人”との交わった記憶を消す……。」
「そうだ。レイドを完全に“異人”として目覚めさせて、計画を実行する。」
「お前が一番レイドの気持ちを知っているんじゃないか?」
オルディンの言葉に、ロイドは少し、動揺した。
「お前にだって……。」
「それ以上喋ったら殺すぞ!!」