黒騎士-ブラックナイト-

「国だなんて大袈裟だな。俺たちはどこの国とも隣接しない、海の中に立つ家に住んでる。“異人”は見放された人種だからな。」

「見放された人種…?」

バリックはレイドの質問には答えず、数少ない道を歩き出した。

「おはよう、レイド♪」

空からローズが降りてきた。

両手に籠いっぱいの果実を持っていた。

「おぉ、すまねぇ。調達に行ってくれたのか?」

「そう♪今日はいつもより採れたからいっぱいあるよ。」

ローズはまた空高く飛び、一番上にある部屋に入っていった。

「すげぇ……。」

「ははっ。そら新鮮に思うだろうな。ほら、レイド。」

バリックはしゃがみ、背中をレイドに見せた。

バサッ!

翼を広げた。

「ここから道がないんだ。乗せてってやるよ。」

「お……おぅ。」

レイドはバリックにおんぶしてもらう形で背中に乗った。

バサッ!!

ビュンッ!

バリックは勢いよく羽ばたいた。

「うおっ!」

レイドは初めて空の散歩をした。

風が気持ちいい。

レイドは不思議な気分になった。

初めて……じゃない?

空を飛ぶのは初めてじゃない気分がした。

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