黒騎士-ブラックナイト-
次第にヴァペスリア民という名前は消え、“異人”という名が染み付いた。
そして、人々は数少なくなった彼等を恐れ、見放した。
†
「―……なんて残酷な…。」
「この書物は、今から80年前に書かれたもの。血が絶え始めたのは100年前……。」
リィナは何かに気づいた。
「100年前……!」
リィナは急に立ち、本棚の前に立った。
「どうした?」
「100年前……!まさか……!」
フィルの問いかけを無視し、リィナは懸命に本を探した。
リィナが探している本があるのは、ルーゼンの歴史のようだ。
背表紙を一冊も見落とすことなく、くまなく探した。
「あったわ!!」
分厚い本を彼女は持ってきた。
「ルーゼンの歴史か?」
「そうよ。100年前に何かあったの!」
ページをめくるほど、歴史は新しくなっていく。
そして、100年前の資料が出てきた。
「ルーゼン・ウルク王国は、魔術が……」
†
ルーゼン・ウルク王国は、魔術が栄え、世界的に魔法が有名な国。
しかし、ずっと栄えてきたわけではない。