黒騎士-ブラックナイト-
「なんだよ。何か、顔についてるか?」
「いいえ……。ただね、私の好きな人に似てるなぁって思って。」
「くだらね。」
「…………。」
レイドは扉に歩いて行った。
「もし余計なことをすれば、殺してやるからな。」
「何もしないわ。」
「じゃあ大人しくしてろよ。」
バタンッ……
レイドは部屋を出ていった。
「あぁ……レイド……!」
リィナは泣き崩れ、枕に顔を沈めた。
廊下まで響く鳴き声は、レイドにも聞こえた。
レイドはリィナの部屋の方を振り向くだけで、何も言わず歩いて行った。
†
「ロイド、王女を監禁した。」
「サンキュー、レイド。」
ロイドは足を組んで、変わらず座っていた。
バリックとオルディン、ローズの姿が見えない。
「バリックたちは?」
「あぁ、今自分たちの部屋を決めに行った。なんなら、レイドも行ったらどうだ?」
「そうするか。」
レイドは来た道を戻っていった。
「レイド。」
ロイドは彼を呼び止めた。
「ん?」
「もうすぐオレたちは自由になる。誰にも怯えなくていい。」