黒騎士-ブラックナイト-

「なんだよ。何か、顔についてるか?」

「いいえ……。ただね、私の好きな人に似てるなぁって思って。」

「くだらね。」

「…………。」

レイドは扉に歩いて行った。

「もし余計なことをすれば、殺してやるからな。」

「何もしないわ。」

「じゃあ大人しくしてろよ。」

バタンッ……

レイドは部屋を出ていった。

「あぁ……レイド……!」

リィナは泣き崩れ、枕に顔を沈めた。

廊下まで響く鳴き声は、レイドにも聞こえた。

レイドはリィナの部屋の方を振り向くだけで、何も言わず歩いて行った。



「ロイド、王女を監禁した。」

「サンキュー、レイド。」

ロイドは足を組んで、変わらず座っていた。

バリックとオルディン、ローズの姿が見えない。

「バリックたちは?」

「あぁ、今自分たちの部屋を決めに行った。なんなら、レイドも行ったらどうだ?」

「そうするか。」

レイドは来た道を戻っていった。

「レイド。」

ロイドは彼を呼び止めた。

「ん?」

「もうすぐオレたちは自由になる。誰にも怯えなくていい。」

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