黒騎士-ブラックナイト-
異人と街娘
1年前―……
ロイドは食料を探しに里を出た。
ただ空を飛び、目に映った場所を目指す。
本当に、ただ飛んでいた。
すると、彼の目に一面の花畑が見えた。
「へぇ……こんなところに花畑があったのか。」
いつもは興味を示さないが、この日は何となくそこに下りた。
見れば見るほど綺麗な花畑だった。
花の香りがほのかにする。
「だ……誰?」
背後から女の声がした。
ロイドは慌てて振り返った。
そこに、水色の綺麗な髪をした女が座っていた。
「な……なんだ?」
「……“異人”!?」
彼女は驚き慌てた。
逃げなきゃ……!殺される……!
その思いが彼女を動かせた。
「ちょ……っ!!」
しかし、彼女はほふく前進で逃げようとする。
両足がまったく動いていない。
「……お前、足が動かねぇのか?」
ロイドは恐る恐る聞いた。
「…………だから、なに?殺しやすいでしょ!?なら……!」
彼女は激しく威嚇する。
「いや、オレは殺さねぇよ。」
「え……?」
「確かにオレは“異人”と呼ばれる人種。どこから出た噂かは知らねぇが、むやみに人殺しはしねぇよ。」