黒騎士-ブラックナイト-

ティアラはまったく動じず、平然と食べ続ける。

「なぜですか?」

ティアラは父親に聞いた。

「なぜただ事では済まないのですか?現に、アタシは何もされていませんし、彼に命を救われたのですよ?」

「命を救われた、だと?」

「えぇ。アタシ、あの湖に連れて行ってもらいました。」

「ライアがよく連れて行ってた湖に、なの?」

「アタシは嬉しくて、つい湖に身を落としたのを彼は助けてくれました。これでもまだ、お父様とお母様は迷信を信じるのですか?」

ティアラの言葉に2人は固まった。

「ティアラ、お前は何もわかってない!」

「わかってないのはお父様よ!!!」

彼女はそう叫び、車イスを操って部屋を出た。

「バカ娘……!」



翌日、ロイドはあの花畑の空を飛んでいた。

しかし、彼女の姿は見えない。

彼はそのまま街へ向かった。

ティアラの豪邸の裏に身を隠した。

コンコンッ…

ロイドは向かって右から2番目の窓を叩いた。

しばらくして、鍵が開いた。

「ロイド!来てくれたのね!」

「しぃ〜!!バカ、声がでけぇよ!」

< 202 / 304 >

この作品をシェア

pagetop