黒騎士-ブラックナイト-
「あの家は嫌いなの。アタシを身動きできなくさせてしまう。言葉も想いも自由も全て、奪われてしまうわ。」
「ティアラ……。」
「お父様やお母様は、アナタたちを酷くおっしゃる。迷信や噂を信じて、何も知らないのに自分たちが正しいと思い込む。」
ティアラは、ロイドの服を掴んだ。
「アタシが歩けたら、あんな家なんかとっくに出ていくわ。でも、それは叶わないの、アタシ1人では。」
「オレだってこのまま2人で、遠くへ行きたいさ。」
「だったら……!」
「でも、ティアラには家族がいる。オレには仲間がいても、家族はいねぇんだ。」
「…………。」
ティアラは黙った。
「オレはいつか、この隔たりが無くなることを願ってるんだ。」
ロイドはゆっくり湖の近くに下りた。
ティアラを地面におろし、向かい合って座った。
「オレは、ティアラに会えるだけで今は幸せだ。」
ロイドはにこっと優しく微笑んだ。
「そうよね、ロイド。ありがとう。」
ティアラも笑った。
「……!」
ロイドは顔を真っ赤にさせた。
「は、恥ずかしい!何を言ってんだオレは!!」
自分の言葉に赤面したのだ。