黒騎士-ブラックナイト-
リィナが祭壇の間に来た。
あの日と同じ、まだ髪が長い。
変わらないのは、大きな瞳だけだ。
『だぁれ?そこにいるのはだぁれ?』
100メートルほど距離を開けて、2人は向かい合わせに立っていた。
『……あ!』
『お前が…リィナ姫だな?』
『え?そうだよ?』
リィナとわかると、オレがニヤリと笑った。
『ははっ!こんな簡単に見つけられるなんてな!オレはツイてるな!』
大笑いした。
『……!!』
リィナは恐怖のあまり、階段に向かって走ろうとした。
『あっ!』
リィナが足を踏み出すと、そこで転けた。
彼女の足元に魔法陣があった。
『逃げられねぇぜ、お姫様。』
オレは、魔法を唱える構えをした。
ま、待て!!
何をする気だ!?
やめろ!その魔法は……!!
『切り裂け、跡形も残さずな!!』
†
「やめろぉぉお!!!」
彼はベッドから飛び起きた。
汗だくで息を切らしながら。
「レイド!!大丈夫なの!?」
「はぁ…はぁ……。リ、リィナ……?」
レイドはリィナの顔を見て驚いた。
「え?そうだよ?」
レイドはリィナの顔を、大きな手で包むように触った。