黒騎士-ブラックナイト-
解放と奪還
港町で警備を続けるシューは、何か嫌な気を感じた。
「…………。」
彼は街頭から城がある方角を見つめた。
……なんだこの感じ。
胸騒ぎがする……。
「どうした?」
彼の様子にフィルは気づいた。
城下町で、バリックたちと戦い、傷を負った彼は後からレイドのことを聞いた。
「いや……なんだか胸騒ぎがするだけだ。」
「奴等の狙いは何か知っているか?」
「狙い……?あの魔法陣だろう?」
「あぁ、そうさ。あれは元々、奴等のものかも知れねぇ。」
フィルはシューに、書物書庫で知った歴史を初めて話した。
「…………考えられるな。」
「俺は祭壇の間に近づくことを許されなかったが、魔法陣はきっと強力な魔力を秘めているんだろう。」
フィルの予想は的中している。
「その魔力を解放したら……。」
「…………!!」
シューは突然走り出した。
「お、おい!」
「私は城へ行く!」
「だったら俺も行くぜ!」
フィルはシューの後を追い、2人は馬を引き連れ町を出た。
†
「心の準備はできているか?」
レイドたちは祭壇の間の魔法陣を囲むようにして立っていた。