黒騎士-ブラックナイト-

オルディンは両手を広げた。

「私の身体をどうかお使いください。あなたの力を最大に引き出せよう。」

『己は……自分の魔力に自信があるか……?』

暗闇から返事がきた。

「あなたの力には及びませんが、今生存している子孫の中では、一番かと。」

『ほう……ではその器……いただこうか。』

ドドドド……

地面が響く。

「きゃあ!」

リィナは立っていられず、その場に尻餅をついた。

『子孫たちよ……再び漆黒の世界を見よう……。』

ゴゴゴゴ……

暗闇は渦を巻く。

「さぁ、ヴォルフィット!」

ドオォッッッッ!!!!

暗闇はオルディンの体に吸収されるように、彼の体を包んだ。

「うぉぉぉぉおお!!!!!!」

オルディンは叫んだ。

みるみるうちに、彼の体に暗闇が収まれてゆく。

「うぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」

ブワッッッ!!

一瞬だけ風が吹き荒れた。

リィナは両腕で顔を隠した。

ロイドたちは顔を背けただけで立っていた。

風が止んだあと、オルディンを見ると、彼の体に無数のイレズミが浮かび上がっていた。

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