黒騎士-ブラックナイト-
「……我が名はヴォルフィット…。」
オルディンは全く違う声でそう言った。
「この身体、申し分ないな……。よい魔力だ。」
オルディンの身体は完全にヴォルフィットという者にのっとられ、別人と化した。
「ヴォルフィット様、お待ちしておりました。」
ロイドは膝を着き、深く頭を下げた。
レイドたちも同じように敬礼した。
リィナは黙ってそれを見ていた。
「我が子孫たちよ。また、なぜ現在(いま)に呼んだ?」
「私たちは今もなお、“聖人”に軽蔑され、愛しい人たちを失いました。私たちは彼らが憎い。今、再び彼らを闇に葬るため、あなたの力を必要としています。」
「まだそんな世の中であるか……。哀しいな。」
ヴォルフィットは辺りを見回し、部屋を一周見た。
「して……この女は何者だ?」
ヴォルフィットはリィナを指差した。
彼女は恐怖で動けないでいた。
「あ……ああ……」
「彼女は、あなたが封印された魔法陣を奪ったルーゼンの王の子孫であります。」
「血は絶えていないのか。」
「はい。あなたを呼び覚ますため、彼女の魔力を費やしました。」