黒騎士-ブラックナイト-
「聖なる力を奪うときに発動する巨大な魔力を注いだわけか。頭のよい子孫だ。」
「光栄でございます。」
ヴォルフィットはリィナに近づき、彼女の前にしゃがんだ。
「先代と似ておらんな。美しい娘だ。どれ、顔をよく見せてくれ。」
くいっ
ヴォルフィットはリィナの顎を掴み、顔を近づけた。
「は……離して…。」
「あんたの力で我は蘇った。感謝しておるぞ。どうだ?我の嫁にならんか?」
ヴォルフィットは唇を近づける。
「離れろ!!」
シャッ!
レイドは腰に差した剣を抜き、襲いかかった。
「なんだ?」
とすっ
ヴォルフィットは刃先を人差し指、1本で受け止めた。
「先祖に歯向かうとは……。」
彼はそのまま立ち上がった。
「す……すみません……無意識に体が動いて……」
「ん?貴様、記憶をいじられておるな?」
「…………え?」
レイドは硬直した。
何を言っているのかわからない。
「返してほしそうな心だ……。我が力を貸してやろう。」
すっ
ヴォルフィットは手をかざした。
「“聖人”に恋をしたか。」