黒騎士-ブラックナイト-

レイドは目を見開いた。

「“聖人”の王女に遣われ、何不自由なく生きてきたか。ん?幼い頃の記憶をなくしておるな。」

「そう……なのか?」

レイドはただ呆然として、彼の言葉に耳を傾けた。

「ヴォルフィット様!レイドの記憶をいじったのはオレたち本人です!そのオルディンの魔法で……」

ロイドは慌ててレイドの記憶について話した。

「双子か。何故記憶をいじった?」

「それは復讐のための力がい……」

「では貴様の記憶も消してやろうか?」

ロイドは黙ってゆっくりと顔を横に振った。

「同じことをしたのだぞ?この身体の主、オルディンとやらも我と同じ考えだ。」

ヴォルフィットはレイドの顔を手で覆った。

「無くした記憶を返してやる。奴らの足した嘘ではない記憶は残してやろう。」

「…………!?」

レイドは膝から崩れ、その場に倒れた。

「レイド!!」

リィナは立ち上がり、レイドに駆け寄った。

「レイド!レイド!!」

「案ずるな。ただ気を失っているだけだ。じきに目覚めよう。」

「レイド……。」

リィナはレイドの手を握った。

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