黒騎士-ブラックナイト-
「本当に……リィナだよな?」
「何を言ってるの?私はリィナよ。」
レイドは大粒の涙を流した。
顔をくしゃくしゃにして、リィナを抱き締めた。
「え!ちょ…ちょっと!レイ……」
「よかった…!!リィナ…!リィナ!!」
まるで、母親に抱いて泣く子どものようだ。
「レイド……。」
リィナはレイドの背中を優しくさすった。
「大丈夫よ、私はここに居るから。アナタもここに居るからね。」
彼はしばらく、子どもみたいに泣き続けた。
彼女は、泣き止むまで優しく静かに背中をさすっていた。
†
目が覚めたときは、もう城が賑やかだった。
レイドは泣き疲れ、昼近くまで眠った。
朝には、不合格した17人が、城を後にした。
「レイド、大丈夫なの?」
彼の部屋に、リィナは水を汲んで持ってきた。
「あぁ…大丈夫だ。」
ありがとう、と、水を飲んだ。
「無理しないでね。これから祝福の礼儀があるけど、体が無理だったら……。」
「大丈夫、いける。」
レイドはベッドから起き上がり、一度伸びをした。
「何かあったの?」
「いいや、ただ怖い夢を見ただけだ。」
あの夢の詳しくは、話さないでおこう。